2026/05/11 10:58

wip wip hooray! という小さなお店を始めました。

母や祖母の影響で、小さなころから編み物が身近にありました。
暮らしのそばにいつも毛糸と針があって、
うれしいときも、つらいときも、編むことで心を落ち着かせてきました。
家族の病気で不安な日々を過ごしたときも、
子どもの入院中、ベッドのそばで過ごしたときも、
編むことで気持ちをつないでいられました。おなかに子どもがいたときは、いつか会える日を思いながら小さな服を編みました。
気がつけば、人生の節目にはいつも編み物がそばにありました。

長く編み物を続けてきた中で、
「こんな色があったらいいのに」「もう少しやわらかな風合いがほしい」――
そんな思いから、自分で糸を染めてみたのがはじまりでした。
思いがけず楽しくて、編みたい色を作るよろこびに夢中になり、
少しずつ、周りの方から「その糸を使ってみたい」と言ってもらえるようになりました。
そして、もうひとつのきっかけがありました。

息子は幼い頃、小児がんを経験しました。
医療の進歩で命を救われる子どもたちは増えましたが、
病気の種類によっては今も治療法や薬がないものもあります。
たとえ命が助かっても、病気をする前の元気な姿に戻れる子は多くなく、
「晩期合併症」と呼ばれる後遺症とともに生きていかなければなりません。

医療費助成などの制度も整ってきました。
もちろん、それらの支えには感謝しています。
でも彼らが本当に願っているのは、
“健常な子どもたちにとっての当たり前”を生きること。
働いて、対価を得て、好きなものを自分で選んで買う――そんな日常です。

息子は今、高校生になり、少しずつ社会に出る練習を始めました。
糸のラベル貼りや簡単な準備など、できることから一緒に。
“特別なこと”ではなく、“日々の中の経験”として。

この糸は、チャリティでも、同情でもありません。
色を見て、「かわいい」「編みたい」「ときめく」――
そんな気持ちで選んでいただけたら、それがいちばんの喜びです。

いつかこの場所を、息子のように病気や後遺症を抱えながらも
まっすぐにがんばる子どもたちが、
胸を張って働ける居場所にしたい――
そんな大きな、大きな夢を持っています。
それが、このブランドのスタートラインです。